腰痛に対しての改善対策やセルフケアのひとつに「体幹トレーニング」があります。
体幹トレーニングとは「腹筋や背筋」などの身体の中心部分を鍛えるトレーニングのことです。
自宅で出来るうえに特別な機材を使う必要もないため幅広い層に人気の方法です。最近では多くの体幹トレーニングの方法もネットなどで検索すれば出てくるようになっています。
しかし、よく「腰痛を予防するために腹筋が良い・腰痛を改善するには腹筋・背筋が大事」という話を耳にすることがあると思いますが、実際はどうなのか気になる方も多いのはないでしょうか。
本記事ではそんな「腰痛と体幹トレーニングについて」詳しく解説をしていきますので是非ご覧頂ければ幸いです。
腰痛と腹筋・背筋の関係は?本当に腰痛に関係あるの?
結論から先にお伝えさせていただきます。
「腰痛の症状と腹筋・背筋にははっきりとした繋がりはない」ことです。
例えば、腹筋や背筋が強いからといって腰痛になりにくいということは示されていません。
ボディビルダーでも腰痛になりますし、アスリートでも腰痛になります。むしろ腰痛持ちは一般の方よりも多いくらいです。
そのため、結論としましては「慢性的に続く腰痛の原因が腹筋・背筋の弱さだという考えは間違い」ということになります。
しかし、多くの医療機関や整体院などの先生は腰痛になると腹筋や背筋を勧めてきます。一体どうしてなのでしょう。
相関関係があるが、因果関係はない
腰痛の患者を対象に行ったある実験研究があります。
内容は、症状がない腰痛患者の腹筋・背筋を測定し、腰痛の症状がない患者との比較検討を行った実験です。
この実験結果では、腰痛がない患者と比較し、腰痛を持っている患者は背筋力が低下しているという結果が出ました。
この結果を見ると「やっぱり背筋力が弱い人は腰痛になりやすい」という結論を出したくなるでしょう。
しかし、実際にはそうとも言えないのです。
実際の現場では、背筋力に特に変化がなくても腰痛が症状が改善することはよくあります。
腹筋や背筋のトレーニング行わなくとも、身体のバランスや歪みの除去により筋肉や関節の負担が軽減されることがよくあるのです。
逆に、どれだけ腹筋や背筋を頑張っても症状改善がみられないケースも多くあります。
また、他の実験研究において腹筋・背筋と腰痛には関係性がみられないという報告結果がいくつも出来ています。
つまり、腰痛患者を集めると背筋力が低下していることは考えられますが、背筋力が低下しているからという理由で必ずしも腰痛になってしまうことはないという結論です。
要は、相関関係はありますが因果関係ではないのです。結びつけたくなる気持ちは分かりますが実際には腰痛の原因となりえる可能性は低いということになります。
腹筋トレーニングで気を付けて欲しいこと
もし、あたなが現在腹筋を頑張っているのであれば、間違った方法で腹筋をしていないかを一度チェックすることをおすすめします。
理由は、腹筋はやり方によっては腰痛を悪化させてしまう危険性があるからです。つまり逆効果になってしまうということです。
まず腹筋と言って頭に浮かぶスタンダードな方法は仰向けの状態で身体を起こす動作ではないでしょうか?
しかし、その方法では腹筋を効率的に鍛えられないばかりか、インナーマッスルに大きな負担を与えてしまい腰痛をひどくしてしまう危険性があります。
腹筋は上体を起こすということに重点をおくのではなく、おへそが少し見える程度に頭を起こすことに重点をおくことが大切です。
実際に身体を起こしているわけではないので「これで腹筋って呼べるのかな?」と思う方もいるでしょうが心配は要りません。
実は頭を起こす方法の方が腹筋に正しく刺激が入り、インナーマッスルへの負担も少ないため腰痛を悪化させてしまうリスクも少なく最適な方法と呼べるのです。
上体をがつがつ上げて腹筋をしていた人は少しだけで良いので見なしてみると全く違った効果が現れることもあります。
まとめ
腰痛を何とかしたいと腹筋や背筋を頑張っている人も多いでしょう。
しかし残念ながら腹筋・背筋をしたからと言って腰痛が改善されるわけではないということです。
もちろん腹筋や背筋が不必要だと言っているのではありません。
もしあなたが腰痛を改善しようと腹筋や背筋を頑張っているのであれば、その労力を他に回すことで腰痛が改善するかもしれないということです。
日頃の姿勢を気を付ける。しっかり休息をとる。定期的にウォーキングをする。など、一見地味なことですが実は腰痛を改善するには腹筋や背筋を鍛えることよりも大切なことなのです。