腰痛とは病名ではなく症状のこと。
そして、その腰痛の症状を引き起こしてしまう病気は様々です。
今回は、そんな辛い腰痛を引き起こしてしまう病気のひとつでもある「腰椎すべり症」について解説をしていきます。
すべり症の症状の解説。また、分離症やヘルニアとの違いなどを分かりやすくお伝えしていきますのでご参照ください。
すべり症ってどんな病気??
腰椎すべり症とは、その名前のとおり「腰椎がすべる病気」です。
すべるとは、主に上の骨に対して下の骨が前方にスライドするように滑った状態のことを指しますが、もちろん後方や横に滑ることも。
つまり簡単にいえば、本来ないといけない場所から腰の骨が動いてしまっている状態をすべり症といいます。
すべり症には「分離すべり症」という椎体と椎弓が分離して起こるすべり症と「変性すべり症」という組織の変性で起こるすべり症とがあります。
すべり症の症状とは?
すべり症の主な症状は腰痛と坐骨神経痛。しかし、厄介なのがこれらを感じないこともあるということ。
また、腰痛や坐骨神経痛という症状自体は決して珍しい症状ではないため「ただの腰痛だろう」と安易に考え日常を過ごしていたが、痛みがなかなか引かずに医療機関へ行ったところすべり症と診断される人も珍しくありません。
また進行すると「間欠性跛行」という特有の症状が出現することがあります。
間欠性跛行とは、一定の時間歩くと腰や足に激しい痛みが出現して歩くことが困難になるが、少し屈むとまた直ぐに歩けるようになり、これを繰り返す。という症状。
もし、思い当たる節があれば医療機関での検査をおすすめ致します。
ヘルニア・分離症・すべり症の違いとは??
腰痛を伴う病気でよくあげられる腰の病気がヘルニア・分離症・すべり症あたりです。
では、これらの違いとは一体何なのでしょう。
【ヘルニア】
腰椎椎間板ヘルニアは腰椎と腰椎の間にある椎間板が潰れたり、変性をきたした状態の病気。滑れた椎間板の中の髄核が神経を刺激することで腰痛や坐骨神経痛などの症状が出ることも。
【分離症】
分離症とは椎弓と呼ばれる腰椎の後方部分の骨が分離した状態の病気。
主に10~15歳に起こり、疲労骨折が原因となることが多い。
また、分離症からすべり症に移行する場合もありその場合は「分離すべり症」と呼ばれる。
以上をみて分かるようにすべり症の中の「分離すべり症」とは分離症から移行してきた状態を指します。
先述したようにすべり症には「変性すべり症」というものがあるため全てが分離症から移行してきた病気とは限りませんが、分離症とすべり症はセットで考えられることも多いです。
すべり症の治療法を解説・手術の必要はあるの?
すべり症の治療法として第一選択としてとられることが多い方法は「コルセット固定」と「鎮痛剤」です。
おそらく医療機関などに検査を求める人の多くは「現状、痛みが出ている人」が殆どです。
すべり症で腰痛を訴えている人に対してまず行われることは痛みを取り除くこと。
コルセットで患部を固定し安静状態をつくりあげます。そして鎮痛薬などを服用することで痛みの抑制をはかります。
その後、痛みがおさまればリハビリテーションなどを行い、筋肉や関節の強化や柔軟性の向上を目指す流れが一般的。
しかし、痛みが改善されず生活にも支障をきたしたり、競技を続けていくうえで必要だと判断した場合などには、すべっている腰椎を固定する手術などの適応となる場合もあります。
まとめ
すべり症の症状については何となくご理解頂けましたか?
痛みを感じることなく進行していくこともあるすべり症。
特に10~15歳前後のお子さまなどが腰の痛みを訴えることがあれば、医療機関へ相談してみてください。
特に疲労骨折などの場合は放っておくと、分離症になってしまい、そこから分離すべり症へと移行してしまうこともあります。
疲労骨折の段階でしっかりと固定し、然るべき治療を受ければ改善されるケースも珍しくありません。
これからひとりでもすべり症になってしまう人が減少するように願っています。